ノラと皇女と野良猫ハート

発売日	2016/2/26	メーカー	HARUKAZE
ライター	はと	原画	大空樹 , 日下部ハルカ, 歪, 亜門
想定プレイ時間	20時間	クリア状況	コンプ

シナリオ	テキスト	グラフィック	音楽	キャラ	システム
7	10	7	9	10	8

レビュー

稀代の喜劇

2016年に産まれた超新星

死を現世に振りまくべく冥界から来たパトリシア・オブ・エンドが、
生命溢れる桜並木を見てゲロることから始まる物語

全体を通して劇調で、地の分がほとんどなく、会話のみでシナリオが進むのが特徴
声優さんの熱演と演技指導が巧みなため、一言一言に説明不要の感情表現が乗っている

体験版の時点で全速でギャグに振り切っており、
命の書（エロ本）をネタに喜劇が幕を開ける

面倒くさいキャラが多い中で、愛らしさも内包しており、
メインルート以外では全員がサポートキャラとしてツッコミに回るので捨てキャラがいない

エンド家三姉妹以外は全員幼馴染で気心が知れたキャラだと後半になって分かるが、
誰も彼もが、自分以外のルートで絡んでくれて、助言や惚気のサンドバッグになってくれる。
ネコのお考えを始めとして、本編でもノブチナと井田のぶっとんだ言動は爆笑必至。
そして、ノラやメインヒロインに対して歯に衣着せぬ対応をしてくれる。
突き放すようでいて生暖かい目で見てくれるので、どのルートでも周りは賑やかで微笑ましい。
（決して核心には踏み込まず、嫉妬や羨望もせず、ただ友達として振舞ってくれる物凄い人材）

各ヒロインルートも多種多様で、
パトリシア編は、命の書をめぐる家族愛の大団円ルートに、
幼馴染御三方は、めんどくさい未知パイ・全方向ビッチ明日原・全肯定菩薩シャチと隙が無い。
はと氏の描く作品テーマには「家族」が不可欠なので、どれも「家族」の派生ルートとなっている。

音楽も素晴らしく、「月」の作詞が詠唱と同一だと気付いたのは2周目だった
ボーカル曲も多く、instのみの曲も記憶に残る曲が収録されている。

テキストとキャラは間違いなく10点
他を寄せ付けない鬼才としか言いようがない
絶対に真似できないと思う

シナリオ面は、2のノブチナルートにグランドルートが取られた感じがしており、
今作ではパトリシアルートがそれにあたるが、少しパンチ力が足りなかった。
害悪キャラが出てくるのは、はと氏の作風であるが、あまり気持ちのいい展開ではなかった。

グラフィックは欠点は少ないものの、シャチルートの過去編で一切立ち絵がなかったり、
田中ちゃんを2でも書き直さなかったりと、細かい点が気になる。
SＤ画像は最初だけで、後半使われなくなっているので、多用してほしかった。

ラブコメ最大瞬間風速は極めて強く、最強の一角
プレイしない手はない作品である

今を時めく、スパイファミリーのアーニャや、フリーレン、ダイの大冒険のダイの中の人のエッチなボイスが聞ける貴重な作品